EGO series 2012 -

2012年から始まった作品群。年を経るに連れて客観視という視座に様々な疑義を抱くようになった。自分の中の問題意識やそれに対する熱量を深刻化すれば、それによるリアクションも少なからず芽生える。無意識に、そして無自覚のままに放置してあった様々な熱量が浮き彫りになり、やがてはそれらに浸潤されていく。何かを堅牢に志向しようとすれば、よりデリケートでナーバスな情報が身の回りに増えていく。肯定的にも否定的にも、避けようのない「状況変化」に私の視座は日々晒されている。

客観という視座に立って何かを形作ろうとする時、常に多くの「気付き」がある。あるいは、客観という視座に傾倒し、その力を利用して何かを志向することは、客観を含んだ「気付き」を造形物の中に生むかもしれない。ただ客観という視座が「気付き」という「何か」を普遍化し、絶対化までしてくれるかと言うと、その成り行きはどこか違うような気がする。

私にとって、その時々で意識することのできる情報量は変化と多様化の波に晒されている。それは過去に手を離れた造形物に対してもそうだ。つかみどころのない時のからくりのように、絶対化された情報など何ひとつない。ただ作者不在にも物性として絵画は全うするだろう。

私はこのEGOというシリーズにおいて、自分のこれまでの視座をひとつの側面として捉えるように試みている。振り子のように揺れ動く私の意識は、限定された視座にとらわれない方向へ向かっている。

EGO - Online -  mixed media / panel  2013

EGO - 箱庭の重力の中で -  oil / panel  2013 - 2014

EGO - universe -  oil / panel  2013

EGO   oil / panel  2012 - 2013